たぬき建築設計室の事務所は諸般の事情により居住部分を除いて施行途中の状態でした。
先日より再開しましたが、杉板の赤身についてのお話し。
上の写真は竣工より1年半経った、
現在の自邸杉板外壁面。
無塗装軒無しほったらかし
無塗装
噂通りの結果で満足。
これを経年劣化の美と捉えるか、ただの汚らしい杉板と捉えるかは人によるかと思います。
今回注目すべきはそこではないです。
無塗装状態の劣化具合や風合いを見て頂きたい。
板材にもいろいろありますが、
今回使用したのは
杉板15㍉厚節ありの 赤身乾燥材
赤身というのが重要です。
言い換えれば芯材で、杉の木の真ん中に近い材料を指します。
一般に造作材で使われたりするものは白身で外側の部材が多いですね。
白身を無塗装で雨がかかる所に使用したらこうはならなかったと思います。
たちまち変色、割れ、変形を起こす可能性が高いですね。
塗装界隈も色々で我々にも何が正解なのかわからないところがあります。塗ると呼吸できなくて死ぬ、塗らないと速攻腐食がすすんで死ぬ、ではどうしろと。
それで行き着いたのがまず無塗装での実験でした。
エコ...なんとかというシルバーグレイへの経年劣化を早め、かつ長持ちさせる塗料も検討しましたが高いのでとりあえず1番過酷な無塗装でどうなるか。
更に、今回は軒無し部分に関して杉板張り仕上げの意匠計画。
これにも一応理由があって、軒ありだと杉板の上と下で経年劣化具合のすすみや汚れ方が異なり、雨に当たらない上の方は新しいまま、雨が当たったり跳ね返りを受ける下の方は劣化といった具合に劣化が進みます。
経年劣化でシルバーグレイになっていく様は好きなのですが、上下で違うのは少し抵抗があっので軒無しとしました。
更に過酷な状況ですね。
結果綺麗に全面がシルバーグレイとなりました。劣化具合も無塗装にしてはだいぶ頑張っています。
この「頑張っている」話を先日から入っている大工にした所
「もともと赤身でこれだけ耐えてるならもう塗る必要もないのではないか」
とも言われました。そもそも赤身だけを集めるのが大変な上にそういう事をしている工務店もあまりないそうです。
そりゃ施主さん相手に無塗装での提案なんて無茶ですからね。
とまぁ外壁に杉板を検討している方のご参考になれば幸いです。
因みに、この張り方は大和張りと言ってりゃんこに杉板を打ち付ける張り方です。
この方法だと、
⚫︎通気層の拡大
⚫︎劣化部分の取り替えのしやすさ
において他の張り方より大きく有利ですのでご参考までに。
以下参考
日が当たる側の無塗装杉板外壁
日が当たるので劣化具合が遅く状態が良いです。
事務所北側 今回の施行中の箇所の一部
一層目が1年半経過、二層目を今回施行しました。このようにりゃんこに貼るのでもし、著しく劣化した板があってもすぐ取り替えられます。
軒天 杉白身 オスモ塗装
当たり前ですが軒裏なので1年半ではほぼ劣化無し。もうすこし染みてる箇所が出始めるかと思ったのですが。
目透かし ビス脳天うち
また、事務所側が1年半にわたり施工が杉板一層目の途中で止まっている箇所がありましたがその場合透湿防水シートが曝露された状態になります。基本的にはNGです。紫外線や風雨でボロボロになるはず。
が、ウルトの防水シートはほとんど劣化しておりませんでした。その件も後ほど。
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